中本造林の山林経営

国産杉へのこだわり
現社長の中本雅生の父である中本利夫が、郷里の広島県吉和村(現廿日市市)でスギの穂苗を植え始めたのは、昭和24年の事です。その時点では、確かなノウハウもなく、手探りで始めた植林でした。以後、私たちは木を植え育て続け、その面積は広島県内外の約2,000haにおよんでいます。この森を健全に守り育む事に、私たちは誇りを持って取り組んでいます。現在、「太田川流域SGECネットワーク」に参加し、廿日市吉和で管理している1071.12haはSGEC/PEFCの森林認証(FM認証)を取得し自然環境に配慮した林業経営を行っています。

私たちが主に植えているのは、吉和村八郎谷周辺でみられる天然スギの一種、「ハチロウスギ」です。天然林のスギ枝や林床に生えている稚樹を採取して苗木にするのです。日照不足に強い、花や実をあまりつけない、成長期間が長く持続的に成長する、といった特性を持っています。日照不足に強い特性を活かすなど、他ではみられない「中本流林業」を実践しています。

森を健全に保つには、「植えてそのまま」というわけにはいきません。下刈り、雪起こし、蔓切り、枝打ち、間伐といった様々な造林作業を森の状況を見ながら計画的に行なう必要があるのです。相手が生物だけに複雑ですし、超長期的な視点を求められるのが特徴です。常に気を抜けません。しかし、森を育てるという行為はまさに自然との対話であり、無量の喜びを伴う仕事です。

中本造林株式会社は、平成元年に第28回農林水産祭参加表彰行事の林業経営部門で栄誉ある天皇杯を受賞しました。私たちの苗畑から商品販売までの一貫体制が評価されたためです。
創業当初から植えていた代表的な森では、当時に想定していた伐期に達した区画もあります。しかし、今日に至って、私たちは、100年伐期の林業経営を目指すことにしました。私たちが生産するものには、より高品質、高付加価値を求めるためです。したがって、近年、中本造林は素材生産目的の皆伐を止めています。とは言え、林業収入がない、という事ではありません。

私たちは森の中に作業道を県内有数のレベルで巡らせているので、間伐(立木の間引き)のために伐られる木材のほとんどを収穫できるのです。そして、間伐で収穫した木材は無駄なく有効活用して収入を確保する工夫を行っています。品質の良い丸太は当社の製材工場へ持ち帰ってスギ製品の素材に使われています。間伐した木の中には細すぎたり、大きく曲っていたりスギ製品には向かない木材も出てきます。そういった木材は当社のチップ工場に持ち帰りチップに加工してバイオマス発電所に発電用燃料として供給する取り組みも行っています。

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